美術品がもっとも美しくはえる空間

私はMOA美術館にある数々の日本文化の至宝を、その最高の光と場で見てみたいと思って。足利義正が慈照寺「東求堂」で見た光り、千利休が茶室「待庵」で見た光り。そうした前近代の光を美術館の内部に実現する為に、私は前近代の素材にこだわった。それは、屋久杉であり、黒漆喰であり、畳だった。(略)私の中では最も古いものが、最も新しいものに変わるのだ。(杉本博司氏)

2017年2月5日、熱海・MOA美術館がリニューアルオープンしました。

世界的に活躍する現代美術作家・杉本博司氏と建築家・榊田倫之氏が主催する「新素材研究所」が設計を手掛けた、伝統的素材と現代的デザインが融合した新しい空間です。以前より榊田倫之氏の住宅建築のお手伝いや杉本博司氏の小田原プロジェクトにもお声掛けいただいたご縁もあり、オープンを待ちわびていた次第。早速、伺いました。

人間国宝の漆芸家、室瀬和美さんの正面玄関入口の漆の大扉に圧倒され、黒漆喰の闇に浮かぶ仁清の「色絵藤花文茶壺」や尾形光琳の「紅白梅図屏風」、「阿弥陀如来及両脇侍坐像」は荒々しい杢目の屋久杉の台の上。ほかにも展示ケースの枠には樹齢数百年の行者杉を配し、飾られるものの美を最大限に引き立てる工夫がいたるところに施されています。美術品を保管保存する目的以上に美術品がもっとも美しくはえる空間というのを体感させていただきました。


MOA美術館

新素材研究所